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福岡・九州地域演劇祭
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2026年 07月 07日
Bloody Expressors わすれゆきの感想Bloody Expressors「わすれゆき」みてきた。 2時間20分 前売・当日3,500円 とりあえずなんか見ようと思って、福岡の公演情報を調べて、こちらをチョイス。チラシの雰囲気からするとあまり期待できないな、、、という印象だった。TWで150分という情報も見たので、みるかどうかはかなり迷った。2時間を超えると、その芝居が自分に合わなかったときに、かなり苦しい時間になってしまう。 しかし、より高額かつ、広報も弱いと思えた他の公演よりも、こちらの方を選択。 (私は、半分くらい、仕事で芝居を見ている) SNSの感想も見たが、やはりSNS情報は、美点凝視で批評性がないものが大半だった。こういうのはほとんど参考にならない。 しかし、結果としては、見に行ってよかった。 カーテンコールで「渾身の」と自らの公演を形容していたが、たしかに渾身の作品だったと思う。 横溝正史の小説のような舞台。山奥で、10年雨が降っていない。和服の人も多い。そこでおこる財宝や殺人事件などをめぐる話。 そこに探偵的な人物がやってきて、入り組んだ事件を解決するという設定。 公式より 干ばつに苦しむ山奥の村があった そこへ風と共に現る雨乞い師の一行 その村に蔓延る真の不幸は雨が降らないことではなかった 欲望と陰謀が渦巻くその村で次々と起こる凄惨な事件 その謎を解く鍵は村の歴史に深く関わる秘宝【三種の神器】にあった 雨を降らせるついでに村人たちを救うべく立ちあがる雨乞い師一行 はたして過ぎ去った風の爪痕・・・・・・その真相とは そしてその想いは (以上、公式より) 登場人物も多い。器を大きくとった作品。 テクニカルは粗は目立ったが(後述)、話のスケールも大きく、盛りも多い。力の入った公演だった。 作品の器を大きくすると、2乗3乗といったかんじで、コストが増す。 この場合のコストというのは、お金や労力だけではない。ノウハウもあるし、関わる人が多いと人の和を保つ力もいる。この規模になると、かなりたいへんだっただろうと思う。素直にすごいと思う。 以下、批評的になるので、そういうのを冷静に受け止められない人は読まないでいください。 まずは、登場人物の衣装が気になった。 その影響で、この舞台の設定がすっと入ってこなかった。和服的な人が多いかなと思ったら、現代の普通の服の人もいる。タキシードやドレス的な服を着て、衣装的には浮いてしまっている村長夫婦。衣装のクオリティも人によって差があって、引っかかる。 時代設定が分からなくて、昭和かなぁ?と思っていたら、途中でスマホが使われるので、現代なんだなとわかる。 しかし、現代なんだとしたら衣装や、話される話題などについての違和感は残る。スマホさえ出なければ、昭和と認識していたと思う。 装置はしっかり組んでいたと思う。場面が色々かわるのだが、工夫のある構成で、演劇的に成立していたと思う。選曲は個人的にはあまり好きじゃない(特に、最後の謎解きシーンの勢いのある曲については、レスペクトできない)。暗転が多めなのだがブリッジが使われていないので、転換の役者の移動の足音が気になった。 役者の演技。実力のある人もいたと思うが、演技の方向性が擦り合わせられてなくて、ここは作品の完成度を下げていたと思う(一方、にぎやかな感じは出ていたと思う)。 ただ、こういうプロデュース性の高い芝居で、そこを詰めるのはかなり大変だ。大変というか、ノウハウの問題というべきか。 脚本の背骨となる部分だと思うが、ほんとうに横溝正史ばりの人物関係とかトリックみたいなのがあって、これはおそらく矛盾なく組み立てられているんだろうと思う。それはすごいことだ。 一方、それを演劇でやることについては、別の視点の見方もある。演劇は、そういうのをやるには向いてないメディアだ。 観客の理解が追いつかないのだ。 小説なら、戻って読むことが可能。テレビドラマでも、途中で必ず、ホワイトボードが出てきて状況を整理する。 過去の殺人とかも、映像だから簡単に出せる。演劇では、いずれも非常に難しい。今そこにいる人が口頭で説明することになるが、どうしても無理は出る。 今回、人間関係とかトリックとかにお客さんついていけたのかなぁという気はする。というか、自分はついていけなかった。 (帰宅する観客も、チラホラとそういうことを言っていたので、やっぱ難しいかったんだと思う) 「三種の神器」という存在には違和感を感じた。が、調べたら、独自の「三種の神器」を持つ神社というのは、ちょいちょいあるみたいで、これは私の違和感が事実にそぐわかなった。 登場人物の名前が、邪馬台国とか大化の改新あたりの歴史人物の名前が使われているのだけども、そうすると、どうしてもそこに意味合いが出てくる。その意味あいが、作品の必然性と結びついていればよかったのだけど、特にあの名前である必然性は感じられなかった。時代設定と含めても違和感を感じたところ。 演技でもちょいちょい、即興的なギャグみたいなのが入ってくるんだけど、こういうギャグとミステリーは、すごく相性が悪いんだよね。そこも作品の完成度を下げていたのかなという感じがする。 そして、最後の村長夫婦の言い逃れだが、あれはやはりご都合主義に感じられた。そんな先回りして、いろいろ考えてやる必要ないだろうと思う。 そういえば、カリオストロは、あれはいるのかなぁ、、、お客さんは喜んでいたけど、自分には安いパロディ、安い笑いと感じた。 そんなこんなで、完成度という点では高いとは思わないのだけど、大変気合の入った公演であることは認めざるを得ない。 自分はどうも、表現方法が突き抜けているとか、一定以上の完成度があって他都市からも注目されるみたいな劇団が福岡で出てきてほしいというのが根っこにあって、完成度を重視するのであれだけども、完成度を高めることを目的とせずに、こういう風にやってみたい、こういうことがやりたいという意思は感じた。 そして、お客さんの多くは満足していたように見えた。
by sailitium
| 2026-07-07 12:51
| 観劇して|感想・批評
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