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福岡・九州地域演劇祭
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2008年 12月 21日
きららの新境地というか、きららならではの作品という感じがする。
原作はストーリー性が強い作品ではないと思うが、その透明感などをトータルでうまく表現できていたと思う。 なんといっても、星の王子さまを演じた宗さんの演技というか、存在感が素晴らしい。 一発でドアを開けられて、いろいろなセリフが過去の経験や記憶にふれて、数度落涙を押さえることができなかった。 演出も良くて、役者は時にオブジェのように振る舞ったり、演出効果的な役目を果たす。 これは、きららが得意とする手法で、星の王子さまと出会うことで、きららが新境地に達したという印象を持った。 スタッフワークもこの劇世界を拡げるいい仕事をしていた。 特に音は、SEの質感といい、選曲といいかなり高度のスタッフワークをしていたように思う。 世田谷パブリックシアターの「にんぎょひめ」に勝るとも劣らないという感想を持った。この作品は公共劇場のネットワークを介すなどして、多くの人に見てもらいたい作品だ。 もともと星の王子さま的な本は合わないという人にはお勧めできないが、それでもたいへん素晴らしい作品であった。 操縦士役の井上さんも実にいい演技をしていた。音吐明瞭でたいへんよかったと思う。ただ、これは無い物ねだりになるのだけど、雰囲気的には個性派の俳優さんなので、作品の透明感とはなじまない部分があったかも知れない。 宗さんの演技は、今年の女優賞を出したいくらい素晴らしかった。子どもを表すための動きが、自分にはやや多かった気もする。このため、動きが記号化してしまったように感じられた。 前半部分は子どもですよとわからせるために必要かと思うが、後半はもうちょっと小出しにしていってもいいかもしれない。 とはいえ、これは個人的な感想であって、ボリュームゾーンに向けては、あのやり方が正解かも知れない。 金屏風が出るところで、宗さんがやや役どころとはなれた演技をする部分がある。あれは、お客さんサービスの部分もあるとは思うのだけど、作品の芸術性は減じてしまうので、ない方が良かったかなぁという気もする。
by sailitium
| 2008-12-21 18:20
| 観劇して|感想・批評
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