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2008年 01月 20日
長崎にリーディング公演を見に行った。
そういう企画があることを知らなくて、先週、千年王國の初日の宴会の時に、飛ぶ劇の泊さん企画のあることを聞いてみにいった。 このリーディングは、長崎で行われた戯曲講座からでてきた2本の戯曲のリーディング公演。一本は太陽族の岩崎さんが演出を務め、もう一本は泊さんが演出を務める。 リーディングにも、本を読むだけのものから、本番公演に近いものまであるが、今回は、前者を1後者を10とするならば、7か8位の、本番公演の近さである。 一本目は「あの夏の話をしよう」(脚本=井上智紗子・演出=岩崎正裕・60分?)1982年の長崎の大水害をモチーフにした話。 二本目は「カンテラの歌」(脚本=林田繁和・演出=泊篤志・90分?)軍艦島にあった炭坑を舞台に、そこにすむ中学3年生の少女を中心にして書いていった作品。 今回、公演というところを極力さっ引いていって「脚本」だけに絞って書きたいのだが、 結論から言うと、二作品とも大変良かったのだ。 井上智紗子氏は戯曲をかくの初めて、林田繁和氏はラジオドラマ執筆の経験はあるが、劇作ははじめて。それでもクオリティは相当に高い。特に「カンテラの歌」は、秀逸といって良い。 観客をひきつけ続けるストーリー性や、十分な仕掛けといえる伏線の数々、それらを矛盾無くまとめる構成力、膨らます方向がいろいろあるがストーリーのメインになるところに絞って散漫化しない抑制力。ほんとうに素晴らしい。 (脚本上少々、やりすぎな部分もあるように感じたが、これは観客層のどのあたりに照準を絞るかの好き嫌いの範囲だと思う。) 林田氏の作品が印象に残っているが、井上氏の作品もけっして悪い作品ではない。 正直言って、脚本のクオリティの高さで、両作品に及ぶ福岡の作品をほとんどみたことがない。これは好き嫌いの部分を極力排除したつもりではある。仮に、排除しきれてないとして、いつもの通り福岡にひいき目に見たとしても、両作品が福岡で3本の指にはいる劇作家の作品であることは、誰が相手でも主張しきる自信がある。 で、これは、やっぱり素直に、福岡の状況に危機感を覚えるわけです。 長崎ではじめてという人によって書かれた戯曲に、福岡の戯曲のクオリティが及んでいないというのは。 どうせこんなこと書いても、喜ぶ人は福岡にいないし、こんなことをいっても損するだけなんだけど、それでも一つの事実認識として、もう仕方がない。 この2作品を入手してよめば、構成はシンプルだからクオリティの高さはすぐにわかると思う。 また、こんなこというと、どういう脳髄してんだ。という奴が、福岡の劇作家のネガティブキャンペーンをはろうとしているとか言い出すので(冗談じゃなくて、ホントにいるんです・・・) そうじゃないとだけは言っておく。 2作品を観るか、読むかして、そんなことないっていうなら、それは甘受するよ。 他地域の制作者からは、高崎は地域の表現者に甘すぎるとお叱りを受けてばかりなくらいだ。 で、マクロ的に言うと、かなりやばい状況なのかもしれません。 北九州、熊本、長崎、宮崎で、トップクラスの劇団が全国区の素晴らしい作品作りをしていて、公演の多さや観客の多さなど活気でいうなら福岡は勝っているけれどもこれは都市背景の問題であって、表現者の才能とか努力とかは無関係で、公演のクオリティはこれらの都市に劣っているという見方もありではないかと2,3年前からうすうすと感じていました。 でも、それを公表してしまうことにも差し障りがあると思っていて、ブログには明言していなかったのだけど、脚本については、ここまで明白な証拠を突きつけられてはどうしようもない。 もちろん他都市と比較してのクオリティなんてどうでもいいと、クオリティの高い作品をつくり世に問うことに興味はないという場合もあるだろう。それがそうじゃない場合と比べて、どちらが良いとか悪いとかは全く思わない。 ハイアートを目指すカンパニーがあって、趣味の発表会があって、その間のグラデーションに多くカンパニーがあって、そこに存在の上下はない。 (クオリティとチケット料金などの外形に差があるのはあれだけど) 役者層については、今回はリーディング公演で練習をそんなにしていないから比較できないので、ひいき目指向でいって、福岡に一日の長があるとできるとしよう。まぁ人口が多いから当たり前だけど。 本作品のリーディングでは演出は岩崎氏、泊氏だったので、演出について長崎との比較は出来ない。演出も経験とか観劇数がものをいうからこの部分もひいき目になるのかもしれないが平均的に福岡がまさっていると言おう。 公演でいうと、役者や演出やスタッフ力の総合になるから、公演のレベルで劣っているとまではいわない。 だけど、趣味と言い切れない団体をのぞいた平均的なクオリティで、脚本についていえば、かなり厳しい状況なのではないか。 本作品を書いた二人がこの先、継続して活動していけるのか?ということは長崎の課題になるだろし、劇団という脚本を継続的に舞台化するプラットフォームをもっていないから、この先どうなるかわからない。 でも、現時点で、その地域で産み出された脚本ということでいうと、上の結論は間違いない。 しかし、この差はいったい何なんだろう。 ここに思いをいたすと、どうしても福岡びいきになってしまうのだけど、 福岡で戯曲講座をまだやってないことだろうか。 福岡の劇作家はイコール演出家であり、代表者でもあり、集団の維持運営に疲弊し、劇作に集中できないからだろうか? または、次回公演という時間的制約中で、じっくり戯曲に取り組めないからだろうか? 公演としてみたときも「カンテラの歌」はおもしろかった。2500円くらいはらってもいい。演出は特に素晴らしくて、リーディングなんだけど、舞台化してもこれ以上面白くするのは難しいんじゃないか?という位。 まぁ、これは自分の精神的な体調がこの公演の方向性にあっていたからかもしれない。 「リーディング公演」という形式の一本のエンターテイメント作品として成立していた。終わったときには大拍手した。 主役の女の子が特に良くて、透明感があってよかった。宮崎アニメのヒロインの透明感とでもいおうか。 テクニックとか熱量とか、そういったことでいえばなにも持ってないようにも見えるのだけど、身体性というかが(これ便利な言葉で助かるなぁ。こういう抽象的で、なんとでもとれる用語をつかうのはあんまりよくないけど)戯曲の中にある役とぴったりなんだよね。 ほかの役でみちゃうと、まったく評価はかわるんだろうけど。 とにかく、そんなこんなで、昨日やけ酒を飲んだという次第です。 そういうことだったんですね。 ちょっとニュアンスは違うのかもしれませんが、 初めて、飛ぶ劇場を観劇した時に、なんて私たちは井の中の蛙なんだ!と思い知りました。 そういえば、あの頃から自分の中の意識が変わったように思います・・ 戯曲の才能を積極的に発掘して欲しいと思います。 小説などと違って、戯曲は作品を書いたとしても、上演してくれる劇団が無ければ日の目を見ないでしょう。 演出・制作などの背景を理解してないと戯曲が面白くないというのであれば、必要な部分を補って支援してくれればいいと思います。 まずは、そういう場がないと、福岡に眠る潜在的な戯曲の才能は見つからないと思うので。 がんばってください。 はじめまして。 長崎市戯曲講座の受講生、リーディング公演作品の作者・井上智紗子と申します。 今まで、正直自分の作品に対する感想・批評を読むのを避けてきました。 あれから2か月近く経とうとしています。その後どうしているかというと、相変わらず観劇好きの一ホール職員ですが(笑)、学生時代までで途切れていたはずの「文章を作る」というライフワークは、どうやらこの機会に再開しそうです。 劇団に所属しているわけではないし、どこかに発表するかどうかもわかりませんが、次の戯曲にとりかかっています。 前回はあくまで「長崎の近年」を題材にし、自主文化事業として舞台にのってもいいもの、という制約があり、ああいう作品に仕上がりましたが(制約のおかげで、これまでと全く色の違う作品を書けることに気付けたのは大きな収穫でしたけど)、次は全く自由に。以前から書きたかった人物を取り上げて作っています。 いまは公演や講座で知り合った沢山の仲間がいますので、昔のように独りよがりに終わることもなく、たぶん読んでくれと頼めば読んでくれそうです(笑) 井上さん、コメントありがとうございます。
たいへん素晴らしい作品でした。初戯曲挑戦と聞いておりますが、今後の活躍をたいへん楽しみにしております。 これは、岩永さんにはナイショですが、福岡へお引っ越しを検討の際はぜひご一報下さい。岩永さんにはナイショです。(笑)
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