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福岡・九州地域演劇祭
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2007年 05月 04日
今回、ちょっと厳しめの見方になりそう。演出の山田さんとは同年代で、多少の球も受け止めてくれるだろうという安心感があるので書ける。そういう安心感がない場合は遠慮してかけないのだけど。
まず、西鉄ホール公演という劇団にとっては転回点になりそうな機会であるにもかかわらず、自分の腑に落ちる表現をさぐるため、守りに入らず演劇的な実験を続ける。という演劇への姿勢は評価したい。 これはひとつの事実として認めざるを得ない。 しかし残念ながら観客との関係性という視点で見たときに、成功公演といえるほどの割合のお客さんにその実験の成果を伝わる形で提示できていなかったと感じた。 全体的な感想を料理にたとえると、いろんな素材や自作の調味料がいろいろと使われていて極彩色。ちゃんと下ごしらえされていない材料もあるような・・・、全体的に味の調和が取れてないんじゃなかろうか、という印象。 もちろんその味が良いという人がいないわけではないとも思う。 元ネタとなるストーリーは古典にあるが、舞台上ではそれは断片的にかたられるのみで、ドラマが舞台上でおこるということにはならない。ストーリーやドラマを楽しむという見方は排除した構成。どちらかというと、役者の台詞のしゃべり方がアングラ的であるとか、風変わりな演出であったりとか、交えられたコンテンポラリー風のダンスとかのパフォーマンスという印象。くわえて断片的なイメージの連続というところか。 それらの演出の集合体が巧みな計算により、観客の大半になにごとかを効果的に伝えられていればいいのだが、残念ながら伝わったと言えるものは見えてこず、ごく一部のアンテナのあった観客が、なにかを感じることができた。というところだろうか。 まず、役者のパフォーマンスや、スタッフのテクニカルの完成度に難がある。主役の菊沢氏は福岡で5本の指に入る男優であるが、ノドをつぶしていたこともあるだろうが今回は精彩を欠いた。ド主役の菊沢氏をそういえばはじめてみたが、全体的に余裕がないかんじであった。静かに燃える炎を内面に蔵しているようないつものオーラはなく、残念ながら福岡屈指の実力は発揮できていなかった。 本作では役者の多くは、奇声的なしゃべりかたをしたり、低音高音が入り乱れたりする朗読法を使用していた。しかし役者の存在感や発声能力が鍛えられて無くて「とにかく、変なことをやっておけ」という小手先の変調にしか見えない。 本当に実力のある役者ならばその手法も成立すると思うのだが、基礎的なことや役者としての存在感ができあがる前の役者が奇矯な方向に走ってしまい、一部の役者についてはその未訓練さがうきぼりになってしまうという結果になり、作品のスキになっていた。 照明も、フロント(客席後方斜め上から舞台をねらう照明)の照明が客席にあたっていて、フロントがつく度に前から6列目の観客が明るくなるという状況だった。これでは舞台に集中できない。 福岡の公演で本作品の料金設定では、脚本、演出、役者だけではなく、全ての脇を固めるスタッフに最低限、中堅以上の仕事が求められると考えるしそこに強い反論は出ないと思うが、スタッフワークに大きなスキがあった点も残念だった。 アフタートークで、奇妙な演出の数々についての話があり、山田氏が「新劇的なことを自分がやってもしょうがない。」という回答をした。そして今選択している方向性が自分の感覚にあうのだということも言っていたように思う。 これはやや残念な回答だった。たんなる伝統的の手法への反発にとどまらず、自分が表現したいことはこういうことで、そのためにこの方向性が必要なのだ。といってほしかった。現時点で山田氏の表現の方向性は立脚点を明快にできていないという可能性を感じる内容であった。 山田氏もまだ30代前半なので、それでいいのかもしれないが、福岡を代表する演出家の一人のポジションとしてはやはり物足りない。山田氏に期待する人は自分も含め決して少なくない。未完成ということは今後が期待できると言うことでもある。その思いで今後の活躍をみていきたい。 最近のGIGAの芝居で見たのは ・利賀村凱旋公演(大名小学校・野外) ・ARASHI(ゆめアール) ・本公演(西鉄ホール) になる。利賀村凱旋公演は、スタッフや役者のスキも少なく、かつ全体としても指向性がはっきりしていて良作だったと思う。見逃してしまったが「埋められた子ども」は関係者の評価も高く、成功作だったと受け止めている。しかしながらARASHIや本公演は、観客との関係性でいえば成功作とはいいにくいという評価が妥当だと思う。 一つの仮説であるが、思うに劇団GIGAは与えられたスペースでは力を発揮できず、GIGAがここだと見込んだ空間でないと力が出せないのではないだろうか? アフタートークで山田恵里香氏が「今回(この劇場での公演に)呼んでもらって・・・」という発言をしたのだが「呼んでもらう」のではなくて、「自分たちで発見したスペース、触発される空間」こそが、GIGAの本来の舞台なのではないか?とも感じた。 広い空間にもむかず、手狭な空間を細密に構成していくことで、観客をトリップさせる空間に誘う力を発揮できるのではないか?とも感じた。 西鉄ホールでのフェスティバルについて、劇団轍との共通性についても触れる。劇団轍は新劇に近い方向性の劇団で安定した実力を誇る劇団である。去年のフェスティバルに参加。参加作品でこれまでの劇団の手法とは違う実験的な手法に挑んだ。その選択の経緯は知らないし、評価は多々あろうが、観客との関係性でいうと、6,7割は成功作品とは言いにくいものであったと思う。 今回のGIGAも実験的な手法に挑んで、観客との関係性でいうと、8割は成功作品とは言いにくいとおもう。 日下部氏と山田氏は同年代。同年代の演出家が、西鉄ホールでのフェスティバルに参加し、いずれも実験手法にこだわって、観客との関係性を重視しなかったことまたは思ったような結果にならなかったことの妙な符合は考察の対象となるだろう。 しかしやはり定説としておきたいのは、福岡で2000円以上の料金を取る以上、観客との関係性にも配慮し、7,8割の観客を満足させながら実験を行うという姿勢だ。ホームランを打てとまでは言わないまでも、このクラスの演出家・劇団は最低だれがみてもヒットといえるヒットは打ってもらいたい。(これはとある演出家の言葉でもあるが、同感なため引用する。) アフタートークについて言及する。アフタートークの出演者は、進行、西鉄ホールの中村氏、ゲストスピーカーの小堀氏、GIGAの山田氏と菊沢氏の4名。 今回のアフタートークは歯切れが良い内容にはならず、公演への言及も枝葉末節の部分(背景の絵がだるまだったら面白いんじゃないか?とか食事のシーンで主人公のグラスだけがやたら大きかったらどうかなど)に多くはとどまるものであった。 公演の内容が観客との関係性でいうと評価しにくい部分があったこと、芝居の分析が困難なことなどから、進行やゲストもどこから入っていけばいいのか、手をつけかねた部分があるのだろう。そこはわからなくもないが、やはり今回の芝居を評価する鋭い視点での分析を聞きたかった。 アフタートーク終了後だったのだが、観客の動線でもあるホールのロビーで劇団関係者の同窓会が行われていた。着替え終わった役者がいたようにも見えた。それは自分の勘違いだと思いたいが、このクラスの劇団がそれをやっているのは残念なことであった。 今回の作品については厳しめの見方になってしまうが、今回に限っての話であり、この劇団が実力を遺憾なく発揮できる場を見つける方向性を探り当て、今後も異彩を放ち続ける表現を続けて欲しいと思う。
by sailitium
| 2007-05-04 11:42
| 観劇して|感想・批評
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