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福岡・九州地域演劇祭
プロフィール たかさきの簡単プロフィールです。 PINstage たかさきの舞台芸術関係の活動の屋号です。 FPAP 福岡の演劇等舞台芸術を支援するNPO法人です。最近のメインはほとんどココです。 九州地域演劇協議会 九州内の6つの地域演劇支援団体により設立。 FPAP職員の日々之精進 FPAP常勤職員がおくる赤裸々日報。 制作者は語る(fringe) 全国の制作者による注目のブログです。 昨日 今日 トータル にほんブログ村 スパム対策でトラックバックには、送信元記事にこのブログへのリンクが必要になっています。どうかご了承ください 最新のコメント
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2023年 03月 01日
初、独楽劇場。入口入って脇にある階段登って2階にある。キャパ30席位。 劇場10周年。初のプロデュースってことで、こういう意欲的な企画をやるというのはスゴイことだ。 企画的にも、九州戯曲賞の受賞者の書き下ろしで、積極的な活動で知られる長崎の劇団「ヒロシ軍」の方が演出、他県からの出演もあり。これも凄いことだと思う。 (地方の小劇場系演劇シーンの中での話ではあるが) こういうプロデュース公演をやる劇場がもっと増えていって、毎年じゃなくても、10年に1回でもやる劇場が10個あったら、毎年どこかでこういう公演があっているということになって実に素晴らしいことだ。 今回の公演のうち、作品なところでいうと、伸びしろはあるのかなと個人的には思うんだけども、それ以上に、こういう企画をやったということが素晴らしい。それは作品成果よりも、評価されるべきことだろうと思う。 とはいえ、作品の感想は書きます。 長文で、批評的な内容になっていて、それで、つまんなかったと思われたくないのと、作品のクオリティ的なものの重要度は低いと思うので、その辺をご了承の上、ご覧ください。 ◯ 脚本 時代は、ナポレオンが幽閉されているとき。 (史実では、ナポレオンは、一度天下を取るけど、そのあと失脚し、小島に幽閉される。後に復活を期しそこから脱出する。今回の芝居ではナポレオン自体は出てこない。) とある一室にナポレオンの部下だった元帥(将軍より上位)たちが集まって、過去の栄光を取り戻すための作戦を共謀する。ってストーリー。 以下、推測。 実際にいた人物や史実に基づく部分が多いかんじの大河ドラマ的脚本なのかなと思う。変なギャグもほとんどない結晶度の高い作品。 後半の作戦を立案するところで盛り上がる感じだし、主役の元帥が過去におこなった非道な作戦が思い返されるところのどんでん返し、ナポレオンが幽閉から脱出した報がもたらされて芝居が終わるところなんか、起承転結として効いていて脚本としての完成度は高いように感じた。 (都合の良いデハケが多いのは気になったが) しかし、日本人が見て関心が持てる題材・テーマなのかということは気になった。古今東西を超えた人間の内面とか真実を伝わる感じで浮き彫りにできた脚本なのかどうかは、よくわからない。おそらくそういうかんじではない。10周年でどういう意図でこの方向性の脚本にしたのか、とても興味深い。 現実的ではないけども、ドイツの公共劇場とかイギリスのナショナル・シアターとかそういうところが上演して、その客層が見れば、より深く受け取れるものがあるかもしれない。 主役の将軍の非道行為と、戦争は、ロシアとウクライナの戦争という時代背景で、深く考えさせられるものがあるだろう。 元の脚本は180分で、それを90分にしたとのこと。 それでも、脚本がぶれているような感じはしなかった。かなりいい編集をしたんじゃないかと思った。すごいと思った。 こういう正統派の外国題材の作品を立体化するのは演劇的にいろいろ難しい。 登場人物とか地名とか、完全に外国のそれだから、日本人がやることに難しい点がある。違和感の臭みを消す作業が必要になる。多様な観客層に対して、違和感なく受け入れさせる必要がある。これが演劇的に難しい。 (ほんとかどうか知らんけど、昔、欧米の脚本を日本で日本人がやるときに、鼻を高く見せるために付け鼻をしていたという話を聞いたことがある。ほんとうかどうかしらんけど、当時の水準に対し、リアリティを追い求めた結果だろうと思う。) あと、でてくるのは元帥だから、ナポレオンの時代の元帥は現代の元帥よりも格は下かもしれないが、それなりの威厳みたいなのは求められる。 作品を成立させるために普通に考えていけば、宝塚みたいな感じでセットもちゃんと作って、衣装もしっかり作るような正攻法でいくことになると思う。 あるいは、現代風に斬新な解釈を加えた演出でやるとかね。 ◯ テクニカル 今回の作品は、脚本に対して正攻法で行こうとしたけれども、演出部的・テクニカル的に必要とされる水準に届かずに作品のクオリティをあげられなかったという印象だ。 今回の重厚なかんじの歴史脚本を、演出的に正攻法で攻めていく場合、衣装の重要度は大きくなる。今回は、ここに一番の伸びしろがあるように思えた。 衣装は、正攻法で行こうとしている感じなんだけども、統一性もないし、生地や仕立てなどクオリティも低い。くるぶし靴下の人もいた。靴周りも配慮がされていたように見えなかった。演劇的な開き直りもなかった。そうすると、役者たちがナポレオン時代の元帥の集まりには見えなくなる。 (正攻法でちゃんとやるとなると、衣装に20万とかかかるだろうと思う。) 逆にみんなラフな格好にして、お忍びで集まったことにするとか、そういう工夫はあったのではないかと思う。 ◯ 演出|演技の方向性 次に、こういうプロデュース公演で、作品がうまく成立していない原因としてよくあるのが、役者の演技の方向性がうまく収まってないという現象だ。 わかりやすいのはテレビドラマ。テレビドラマには歌舞伎俳優も出るが、歌舞伎の演技の方向性は使わない。テレビドラマ的な演技の方向性に合わせてくる。歌舞伎的な演技の方向性でやったら、作品のリアリティがなくなってしまう。作品のリアリティを壊さないために、ある程度、演技の方向性を合わせる必要がある。 それで、これは非常に残念なことだけども、商業演劇とか東京のプロデュース性の高い公演は、そういうことはお約束として経験的に知っている。それは普通にクリアしてくるんだよね。役者も、その辺わかっていて、演技の方向性はどこかに自然と収束させてくる。そのへんの修正をしない役者もいないし、見逃す演出家もいない。 こういうのが文化の集積度の違いなんだろうけども、地方のプロデュース公演でも、こういう経験を重ねることでクリアしていくしかないのだろう。 アイドルグループでもやっぱ東京資本はそのへんのアイドルをアイドルたらしめるノウハウをもっているのだと思う。ローカルアイドルグループとAKB系列の差の一つになっていると思う。そのへんの集積が文化の収斂度の高さであって、結局それは地元の才能で作る芝居を続けないと磨かれないし残らない。 今回のプロデュース公演は、演技の方向性が分散していて、それによって作品のリアリティを失っていたと思う。役者の技量にも差があったように思えた。 今回の感じで行くと、主役(多分)の人とスウェーデン王の2人の方向性を中心にすべきだったと思う。この2人が会話しているシーンは、安定したシーンになっていたし、脚本の世界観にも近かったと思う。 ある程度、方向性が収束することで、逆に飛び道具も効いてくる。 ◯ テクニカル 装置は、正攻法でやっていて、脚本の世界観を壊してなかったと思う。音響は終演のときの効果が効いていたと思う。照明は、あのタッパだと技術的な制約はあり、あれが限界なのかもしれない。オペは気になった。 小道具は、普通にいろいろ出ていたと思う。少なくともこういう芝居でパントマイムみたいな事やったらNGだが、そういうことはなくて良かった。ただ、ワイングラスがプラスチック製のやつで、テーブルに置いたときの音で、プラスチックじゃん、当時あったのかよ、みたいな違和感で、少し残念だった。。 ◯ さらに蛇足 この脚本で、正攻法で行くなら、正攻法の経験のある演出家にお願いしたいところ。もしくは補佐する人を付ける。見つけられなかったら、正攻法は諦める。演出家ありきなら、その演出家が力を発揮しやすい脚本にするか、作品の方向性にしたいところ。 今回、脚本・演出・テクニカルの3つの部門で、それぞれ力はあると思うんだけども、その組み合わせが上手くいっていないと言うか、いい方向に成立させるためのアイディアがでてこなかったんだろうと思う。 初のプロデュース公演ならそれは仕方のないことだと思う。九州のプロデュース公演で、初回でそれなりの作品成果を出せた公演なんかほぼほぼ存在しないと思う。 通常の劇団の公演では、そのメンバーは基本的にみんな一番得意な分野で勝負している。プロデュース公演って、主催者の意欲や目的がまず第一にある。劇団でやっている人に、主催者の目的に合わせた修正が必要なんだけども、それは一番得意な分野で勝負できないってことでもある。 (それで、結果を出せる人は、生涯演劇で食っていける天才的な人。) おもしろい劇団の公演をまるまる買い取って、プロデュース公演にすれば、作品性の面では安心だが、それでは、その劇団の公演と何が違うの?ってなってしまう。今回の企画では、そういう方針を選ばずに、プロデュース公演の主催者としてのボイスがあったと思う。 それだけで、もう既に勝利だと思う。 また、やってくれたらの話だけど。 ○ まとめ といろいろ書いたが、初のプロデュースってことで、こういう意欲的な企画をやるというのはスゴイことだ。こういう劇場が増えてほしいものだ。 途中の高速バスの二酸化炭素濃度。良好とはいいがたい。満員だったらこんなもんなんだろうね。1500ppmくらいなら2,3時間いても大丈夫なのかも。でも、2500ppmとかで2時間いたりしたら危ないんじゃないかと思う。
by sailitium
| 2023-03-01 12:08
| 観劇して|感想・批評
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