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福岡・九州地域演劇祭
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2017年 12月 11日
「荒れ野」を見た。
見応えのあるいい作品だった。 名作だと思う。 50代の女性二人の生き方を対峙させ、ちょっとした浮気のかけらをヤブの中から拾い出し、来し方行く末に思いは至る、、、というのが基本の構造だと思う。 浮気したということより、ちょっと心が動いたという程度のことかもしれないが、状況によっては、それがとても深刻になることも伝わってくる。 新興住宅地に訪れた火災。火災は延焼を続けていて、頑張って立てた一戸建ては燃えるかもしれない。 そんななか、以前住んでいた団地の友人女性宅に、一時避難する3人家族(夫・嫁・娘) 友人宅には老人と青年の奇妙な父子が、その友人女性宅になぜか同棲しているという設定。 朴訥にして重厚 そういう印象を強く受ける。自分の感覚器は。ほんとに脚本がしっかりしているというか、ほんとに力強い。 桑原さんの脚本演出の芝居を見るのは多分2回目だと思う。ずいぶん昔にKAKUTAの芝居を見たときも同じような印象だった。男性作家だと思ったもんね。 自分はそんないろんな人の戯曲を読んでいるわけではないが、印象として一番近い感じなのは、三好十郎さんだ。 芝居を見ていてノイズ*に感じられるようなこともあるんだけど、力強い展開でもっていかれるという感じだ。演劇・ストーリー・人間というものを書き抜いてやろうというすごい筆の力を感じる。 *たとえば、父子が友人女性宅に同棲しているところは、あんまり明確じゃなかったところとか。けど、そこやると芝居が長くなるし、テーマが明確じゃなくなるという判断なのだろうと思う。 あと、青年が胸を拭きまくるとか。 なんの矛盾も一切ない脚本とか、ほぼ世の中にありえないと思うんだけど、そこの判断の思い切り方がすごいんだと思う。 ストーリー・ドラマの中軸がしっかりしているというか、これを見せたいというのがはっきり持てているのだと思う。 囲碁に例えると、ここに打つとちょっと形は悪くなるけども、最終的にここに行くためにはここに打つのだと強い意思で打っている感じがする。 さらに、囲碁将棋の例えになるけど、 自分も小学校の時は、クラスで1,2番目に強いとかだった。 で、高校生の時に、ほんとにめちゃ強いやつと、2枚落ちでやったのだけど、 壁が徐々に押し迫ってくるような形で、負けてしまった。 なんか、芝居を見た感じはそんな感じなんですよね。 だから、自分にはノイズと感じられたところも、ああいう飛躍がないと、世界をあそこまでもっていけないんじゃないだろうかって感じがするんだよね。 それと役者さんの演技の方向性も。 けっこう、素っ頓狂な発語をして、「フツウ、そんなふうに(ことは)言わないだろう」みたいなことはちょいちょいあって、自分にはノイズに思えた。 けど、アレはストーリーを展開させていく上で必要なステップなんだなと思う。 あれがないと、結果としては、あそこまでいけないし、他のメディアではできない演劇手法だなという感じがする。 そういうのが、上手く散りばめられていて、フツウにしてたらなかなかたどり着けないところまで、お客さんを連れて行くのだろうと思う。 キャスト6人のうちの半分は、最優秀男優賞とか、女優賞とかとっている。すごい。 多田さんはガラパのときもだけど、最初に見たのはこの時だった。 半身のシュラ役。時代は流れ行くなぁ。 そして、シュレーディンガーの猫のプロットは、セオリーなんだと思うけど、やっぱああいうのがずーんと効く。 50代の女性が2人、 ひとりは結婚して一戸建てまでもったが、その人生について疑義を感じてしまっている。 もう一人の女性は、きれいだったけど、親の介護もあって結婚せずにきている。その二人の交錯が、 50代の女性の異なった生き方やその結果の葛藤をえぐり出している。 そして、これはかなりの演劇作品成果だと思う。 40代、50代の女性で、共感できる要素がある人が見たら、演劇作品という虚構の世界を超えて、かなり深く突き刺さる作品になるんじゃないかという気がする。 半分以上のお客さんがわかるようなところを狙ったと思うんだけど、あれは父親を薬殺してるんじゃないか?って思わせるような部分が終盤にあった。 そして、最後の朝食のシーンも美しかったよね。 あれは、夫は今の奥さんと離婚して、4人であらたな家庭を築くというふうに見るのが妥当なんだろう。 (でも、自分は離婚しないに一票だけど。) あと、火災保険の事には触れられてなかったけど、おそらく現実としては、火事になれば火災保険がおりるから、土壌汚染のないところに新たな家を立ててやり直すこともできる。 ここの3点(薬殺、離婚したかどうか、火災保険)あたりのかなり重要なことを、3点も残した形で終わるのが、すごいなと思った。観劇後にどうしたってそのことについて考えざるを得ないから見ただけで終わらない芸術作品の域にきてるなというかんじがする。 見終わった後も考えてほしいって、こういう風にやればいいのかという感じだ。 そして、その終わり方も、シュレーディンガーの猫のプロットがうまく回収している感じ。 ーー 続く ・
by sailitium
| 2017-12-11 12:37
| 観劇して|感想・批評
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