記事ランキング
検索
リンク
福岡・九州地域演劇祭
プロフィール たかさきの簡単プロフィールです。 PINstage たかさきの舞台芸術関係の活動の屋号です。 FPAP 福岡の演劇等舞台芸術を支援するNPO法人です。最近のメインはほとんどココです。 九州地域演劇協議会 九州内の6つの地域演劇支援団体により設立。 FPAP職員の日々之精進 FPAP常勤職員がおくる赤裸々日報。 制作者は語る(fringe) 全国の制作者による注目のブログです。 昨日 今日 トータル にほんブログ村 スパム対策でトラックバックには、送信元記事にこのブログへのリンクが必要になっています。どうかご了承ください 最新のコメント
最新のトラックバック
カテゴリ
全体 ●コメント前に FKRT 制作的なこと(演劇) 広報・宣伝、具体的な制作のアイディア チケット料金、動員 福岡・九州・地域の状況 観劇して|感想・批評 --------- トークの司会、企画の作り方 作劇のこと・テクニカルのこと 戯曲WS・戯曲のこと #復路のない旅 演出家、演出WS・セミナーのこと 制作者のこと 劇評・批評について 事務的な仕事をする上で 役者/演技のこと 劇場のこと 稽古場について 演劇祭について 芸術文化環境、一極集中、道州制 10年前なにがおこっていたか 釜山・韓国のこと 沖縄のこと ●企画 制作講座・勉強会 福岡・九州地域演劇祭 九州演劇人サミット ブラッシュ 大学演劇部合同公演 TAM 観劇ディスカッション DDシアター リンクP PmP パネルトーク 火曜劇場 東京物語 ステージスタッフWS LRT アゴラインターンシップ 環境の演劇WS ネットセミナー Meets! 2007(札幌福岡) 鐘下さん カラフル 世界劇場会議 一人芝居フェスティバル 指定管理者のこと FPAPのこと かげながら ●その他 Mac、PC、スマホとか 食べる、飲む、外食する ダイエット・運動 本を読んで 小ネタ、近況 さくてきな視点で(非演劇) 商品とか企画のネタ(非演劇) テレビドラマ・映画 #新型コロナ 腰痛 ライフログ
ブログジャンル
|
2014年 11月 27日
時間堂を始めてみたのは、東北大震災の2週間後 観劇ディスカッションツアーという企画でだ。 http://sakuteki.exblog.jp/13235084/ それ以来、時間堂というカンパニーやメンバーを評価している。 のだけども、制作的な動きが先行しているが作品がそれに追いついてないんじゃないかという個人的な印象を持っていた。 が、その認識は修正された。 力作。という感想を持った。 各地域でのtwitterなどでみる感想から「十二人の怒れる男」的な議論劇なのかなぁと思っていたけど、遠からず。全体としては原発を巡っての議論劇という紹介が近い。 作品の構造を大雑把に言えば「ひとりの原子力研究者が死ぬときに見た夢。その夢を覗き込むことが出来た孫が研究者を志す」というもの(たしか)。 芝居の冒頭は、老いた研究者とその親族のシーンで始まる。研究者は孫に、自分の功績を聞かせようとして、舞台は1963年にうつっていく、、、 1963年の原子力開発の研究室。 そこで起きたひとつの事故をめぐっての研究者を中心とした議論。この事故自体は架空のものだが、福島第一原発事故を巡ってのやりとりをそこに再現している。 原発に関する左右の見方を比較的公平に対立させており、ドキュメンタリー性高くまとまっている。一方の立場から語られるものは見るがこの作品では両論がしっかりと併記されている。 まず、これだけでも高い価値がある。わかりやすいし。 ※自分も原発事故の世論の動きや報じられ方については注視していた。関係者の議事録も結構読んだ。その下知識があったのは幸いだった。 さらに学校の教師や、政治家などをその研究室に登場させることにより、原発に関する話を社会やこどもといった広い視野で語ることに成功していた。 時代を1963年に置くことで、長崎の原爆被害なども議論の俎上に上がる。 学校の教師は長崎出身。その惨状を知る以上語り口はややヒステリックになる。政治に徹底した不信をもつ女教師を演じた富田文子の熱演が光る。 戦争や原爆、原発と大文字の社会問題と正面から向き合った議論に息を呑む。この時代設定を置くことで、原発の問題をさらに鳥瞰的に見せることに成功している。 ここにいたって、この作品の成果は、並大抵のものではない域にきていると思う。 終盤は演劇的ならではの飛躍を見せ、もし原発を導入していなかったらどうなるかという世界をはじめ、さまざまな仮定による世界をみせる。 そのトリガーは若き研究者の選択だ。研究者が違う選択をする度に、違った世界が現出する。 あたかも歴史のシミュレーションをしているように。 その世界には研究者の家族が出てきており、違った家族の姿がそこに現れる。 苦悩葛藤する姿を孫にみせ、最後の息を引き取る研究者。っていう話。 ーー 音響効果。メロディはなく、効果音のみ、シーンによっては時報のような音がしばらく流れ続けたり、汽笛のような音がなったり。舞台を囲んで待機する役者たちが小道具などで出す効果音も良かった ーー 今回の出演者は、 1)劇団員 2)地域選抜のツアーキャスト 3)地域限定のリージョナルキャスト と3つのフェーズに分かれる。 劇団員やツアーキャストは、全5地域に出演する。地域限定のリージョナルキャストは、その地域限定の出演だ。 こういう構造を取ると、役者の稽古量やコミュニケーションなどで作品の完成度は下がらざるをえない。 実際、スキと思われるようなところもあったが、脚本や演出を中心とした工夫によって、その不利は克服されていたように思う。 その不利を受け入れた成果は、以下のとおり小さくない。 これまでのツアーの演劇公演は、創作の拠点(多くは東京)と、各地域が放射線状につながっているだけで、ツアー先の地域同士がつながることはなかったと言っていい。しかし、今回の公演では、それがWeb(蜘蛛の巣)状につながった。 この絵をかけた例はこれまでほとんどなかったんじゃないだろうか。 1)劇団員 と 3)地域限定のリージョナルキャスト の組み合わせは見られるが、2)地域選抜のツアーキャストの存在が大きいと思う。 それで今回、大阪のリージョナルキャストが福岡に見に来たり、みたいなことがいろいろあったようで、このつながりは本公演の成果の一つと言っていいと思う。 ーー 今回、表面上は、原発を再評価する話(少なくとも、いい面悪い面をちゃんとみようとする話)だったので、体制寄りと見ている向きもあるようだが、そんなこともないと思うね。 逆の立場も含まれているからだ。 まず、この作品の前提は 「原子力関連の技術を運用する組織は、なにはなくとも隠蔽しようとする。」 というところからスタートしている。 さすがに戦争が始まった構造について、踏み込んではなかったが、一般国民に反省を求めず、戦争は、すべて政治家の責任という前提だ。 このへんは、反体制的で、トータルで言えばバランスは取れていると思う。 政治的な目的を重視する演劇(憲法擁護劇など)はその限りにないが、演劇作品はイデオロギー立場ではなく演劇性で評価されるべきだと思う。 今回、本作をイデオロギー立場で評価する意見が少ないのはいいことだ。まぁ、一部にイデオロギー的なところで主たる評価をする意見もあるようだが、ごく少数だ。 自分の好むイデオロギーは無条件に肯定し、そうでない場合はプロパガンダとレッテル貼りするのは不公平。せめてスルーであるべきだ。 以上が、作品全体について感じた主なところ。 あとは細かいところで、気になったことをいかに書くが、芝居の全体の評価には影響は大きくない。 ーー ○ 個人的にはストーリーのオリジナル性について、やや疑義を感じた。 議論の多くはすでになされた言葉を集めたもので、その時に、オリジナリティや演劇性はどう成立するんだろう?と思った。 まぁ、でも十二人の怒れる男たちも実話をネタにしたとも聞くし、そんなこといったら評伝ものとか、歴史ものとか総崩れしてしまう。 有効な疑義ではなかったようだ。 情報収集とオリジナルの舞台設定を中心にした再構成の成果は非常に高くて、素晴らしい。 地域キャストメインの現在と、ツアーキャストメインの研究室の関係性の構造は、かなりうまくいっていると思うし、オリジナリティのある演劇性の高い表現がある。 ○ しかし、最後はキレイにまとまったのかな?とも思う。 研究者の孫が、自分も研究者を目指す!という明るい未来みたいなみたいな締め方にしていたけど、 ・原発の議論、対話、人間の対立、日本人 などなどの土台が、しっかり打ちたっていただけに、その土台と関係ない所に、最後の建物を立てる感じなのはもったいない。 高度をロスしたような感じもする。 ◯ 最初の2つのプロット(痴話喧嘩、いきなり事故) 研究者のシーンだけど、会話の中であっさり浮気がバレて痴話喧嘩始まったりとか、それはねーだろ。と思った。もう、そればらすためにしゃべってるだろ。的な。 痴話げんかの最中、機器に強めに体があたったことが契機で、事故に繋がったというのもそれはねーだろ。と思った。 けど、その後得られたものが大きいから、終わった時には気にもならなかったけど。 そこも丹念に書くと、尺が伸びて全体への影響のデメリットもあるし、しょうがないのかなとも思う。 ◯ 登場人物が、1963年にあれだけ開明的でリベラルな立場でありえただろうかと見終わったあとで気になった。みているときは気にならず。 言葉遣いとか身体性が現代的であったが、そこは「演劇の嘘」で、あんまり気にならなかった。 ーーー 舞台の展開 地域キャストのシーン(祖父) 花火 研究室のシーン 痴話喧嘩 重要な アクシデント 政治家出てくる 演劇の練習 先生入ってくる 議論 時間がストップ シムシティ 地域キャストによるお葬式のシーン アトムで終わる ーーー
by sailitium
| 2014-11-27 13:40
| 観劇して|感想・批評
|
Trackback
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||