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福岡・九州地域演劇祭
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2010年 11月 05日
黄金山アタック「切女(せつな)」10月30日 広島アステールプラザ多目的ホール
水を抜いたプールとでもいえばわかりやすいか。プールの床面部分が舞台となっている。 観客はそのプールの3方向を囲んで座る。 黄金山アタック「切女」の会場に入ると、上記の舞台と客席の特異な構造が目にはいってきた。 客席は縦2列または3列で、プールの三方を囲むよう横長に配置されている。 観客は客席から舞台を見た時に、急傾斜の視角に気づくだろう。小劇場作品をみるときに、これほどの急傾斜で舞台を見ることは珍しい。 客席の後ろには黒いパネルがたてられ、囲みのある黒いプールが出現している。 結論から言ってしまうと、黄金山アタック「切女」はいい舞台だった。 ストーリーの明確な芝居ではない。 ストーリーはあるような、ないような。いくつかのストーリーのスレッドがあり、それらが断片的に紡がれる。 作品の魅力の中核をなすのは、脚本・演出をつとめる藤井友紀の情念と心象風景。 観る者の心に引っかかりをのこす詩人のようなセリフ、それだけで一枚の絵として成立しそうなビジュアル、そして役者の身体。 これが、藤井の武器だ。 「切女」で藤井はこれらの武器を駆使し、心象風景や情念を観客に伝える。 脚本・演出としての技術が向上し、これまで観客に届きにくかったそれらの魅力を、より多くの観客に届けることに成功した。 とはいえ、基本的にはアンテナに合う合わないで評価が全く変わってくる芝居である。合わないという人がいても不思議ではない。そのため、だれにでもすすめられるわけではない。 しかし、その作品の魅力は、確かにその舞台の中心に輝いている。 三人の役者。男が一人、女が二人。 家族のような会話をしていることもある。買う買われるの関係にある会話をしていることもある。下着姿となり交接を表現するような演技もある。 俳優の吉本がいい。女優の二人は線が細い感があるが、この世界観をつくるために欠かせない演技を提供する。 今回プール舞台を選択したことが視覚によるイメージの提示に成功した主因だろう。客席から舞台を見下ろす構造になっているため、床面が観客の視野にはいる。舞台に置かれたオブジェや、小道具、衣装、照明効果は、上から見下ろすことで、その美しさが伝わりやすい。このカンパニーにあった方法かもしれない。 開演して、まもなく、役者は傘を開く。その傘から赤いものがふわりと床に落ちる。この赤いものはその後も舞台に残り続け、見降ろす視覚を得て印象的なビジュアルを構成する。おそらくこの赤いものは藤井の考える女性性を象徴するなにかであろう。 身にまとわりつく女性性、そのすべてを焼き尽くしたい。体内に埋め込まれた女性性、いっそ体の中に手を突っ込んでそれらの臓器を引きずりだし、すべてを投げつけてしまいたいというような藤井の情念を感じる。どろどろに腐った下層に身を投じ、そこで格闘し、もがいている藤井の姿を感じる。 故にラストシーン、女性性の許容・生命の礼賛に、少なくない観客が感動を覚えるのだ。 脚本・演出の藤井は、その風貌からは、とてもこのような世界観を創りあげるようにはみえない。どこにあのようなグロテスクで美しい世界を描き出す情念を宿しているのか。 本作品は、海峡演劇祭にて11月13.14日に北九州門司区にて上演される。 ツアー先の門司公演で本拠地広島公演と同等のスタッフワークを望むのはややハードルが高いかもしれない。しかしそれが可能であれば、本作品はぜひともすすめてみたい公演である。 黄金山アタック「切女(せつな)」 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=23872
by sailitium
| 2010-11-05 00:04
| 観劇して|感想・批評
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